- 電池の劣化とは何か:時間とともに電池の電圧が低下する理由を、起電力の低下と内部抵抗の増加の観点から解説します。
- オームの法則と電池の関係:電池の端子電圧が起電力や内部抵抗によってどのように変化するかを数式を用いて説明します。
- 異なる種類の電池を直列で使うと何が起こるか:電池の劣化速度の違いによって発生する逆電流や発熱、破裂のリスクについて学びます。
- 関連する数学・物理・化学の基礎:オームの法則、直列回路の特性、酸化還元反応など、電池に関する理論的なキーワードにどんなものがあるかを確認できます。
乾電池を使うとき、異なる種類の電池を一緒に使うのは避けた方が良いとよく言われますよね。うちでは、単4電池を4本使うような子どものおもちゃがしょっちゅう電池切れになり、まともに同じスペックの電池がそろわないことも多々あるので、そんな時には、適当にかき集めた単4電池4本で対応したい衝動に駆られてしまいます。
でも、ダメです。特に、異なる種類の電池を直列につなぐと、電池が早く劣化し、最悪の場合は破裂する危険さえあります。なぜこのような問題が起こるのでしょうか?今回は、電池の「劣化」をキーワードに、その理由を詳しく見ていきます。
1. 電池の劣化とは「電圧低下」である
電池は時間が経つと劣化しますが、それは主に「電圧が下がる」ことを意味します。つまり、電池が本来持っている「電圧源としての機能」が失われていくのです。電圧が下がると、電池は正常に機器を動かせなくなり、やがて使えなくなります。
では、この電圧低下はなぜ起こるのでしょうか?主な原因は次の2つです。
- 起電力の低下:電池内部の化学反応が進むと、電池が発生できる理論上の電圧(起電力)が低下します。
- 内部抵抗の増加:電池の内部で不要な物質が蓄積したり、電極が変質したりすることで、電池内部の電気の流れが悪くなります。
これらが進行すると、電池の端子電圧が下がり、最悪の場合、逆に電流が流れ込むこともあります。
2. 電圧低下の仕組み(オームの法則と電池の関係)
ここで、「電圧」とは何を指しているのか、少し整理しましょう。
電池には「起電力」と「端子電圧」という2つの重要な電圧があります。
- 起電力(E):電池内部の化学反応によって発生する理論上の電圧。電流が流れていないときの電池の電圧。
- 端子電圧(V):実際に電池の端子間で測定できる電圧。電流が流れると、内部抵抗の影響で起電力より低くなります。
電池の+−端子を結ぶ単純な回路を考えると、次の式が成り立ちます。 $${V=E−I⋅R_{int}}$$
ここで、
- V:端子電圧
- E:起電力
- I:電流
- Rint:電池の内部抵抗
この式から、もし 起電力Eが低下し、内部抵抗Rintが増加すると、端子電圧Vが小さくなる ことが分かります。さらに、場合によってはVが負になり、電池に逆電圧がかかることもあります。
3. なぜ起電力が低下し、内部抵抗が増加するのか?
電池内部では、化学反応によってエネルギーを供給しています。しかし、長時間使用すると、次のような現象が起こります。
- 不要な物質が電極に析出する → これにより、電極の反応が阻害され、内部抵抗が増加します。
- 電解質中の物質が減少する → 化学反応が進まなくなり、起電力が低下します。
例えば、アルカリ乾電池では使用中に副生成物として酸化物が生成され、これが電極に付着して電流の流れを悪くします。充電式のリチウムイオン電池でも、長期間使用すると電極の劣化により起電力が低下していきます。
4. 異なる種類の電池を併用すると何が起こるか?
異なる種類の電池を併用することは、異なる化学反応のスピードの電池を一緒に使うことを意味します。これが問題となる理由を考えてみましょう。
特に直列接続では危険!
直列に接続すると、すべての電池に同じ電流が流れます。しかし、劣化の速さが異なるため、どちらか一方が先に劣化し、起電力が大きく低下します。すると、
- 劣化した電池に逆電流が流れる
- その電池が発熱するとともに、内部の化学反応が本来とは異なる方向に進む
- これにより、望まない副生成物が電極に析出したり、内部抵抗が増えたりして、劣化が加速する
- また、電池の種類によってはガスが発生し、膨張や破裂の原因になることもある
例えるなら、足の速さが違う二人がゴムでつながれて走るようなものです。足の遅い方が引っ張られ、無理に走らされるうちに転んでしまうのと同じです。
5. まとめ
- 電池の劣化は「電圧低下」によるもので、起電力の低下と内部抵抗の増加が主な原因。
- 電圧低下は電池内部の化学反応の影響を受ける。
- 異なる種類の電池を直列につなぐと、劣化が速い電池に負担がかかり、破裂の危険がある。
安全に電池を使うためにも、同じ種類の電池を一緒に使う ことを心がけましょう。
6. 関連する理数単元
今回の記事に関連する単元をまとめました。興味があれば、教科書や参考書で詳しく調べてみるのも面白いかもしれません。
物理
- オームの法則((V = IR\))
- 電池の起電力と内部抵抗
- 直列・並列回路の電圧・電流の関係
- エネルギー保存則(電池の化学エネルギー → 電気エネルギーへの変換)
化学
- 酸化還元反応(電池の化学反応)
- 電池の種類(乾電池、アルカリ電池、リチウムイオン電池など)
- 電解質の役割と濃度変化
数学
- 1次方程式(オームの法則の変形)
- 比例・反比例(電流と抵抗の関係)
このように、電池1つをとっても、学校で習う数学・物理・化学が深く関わっています。日常の技術を学ぶことで、理科や数学の学びがより楽しくなるかもしれません!

