はじめに
身近な材料とDCモーター、そして乾電池だけで「走る」を体験できる電動カー工作は、機械エネルギー変換と簡単な機構学を楽しく学べる定番テーマです。本記事では、段ボールやアイス棒、ペットボトルキャップといった日用品を活用した10の作例をレビューします。
選定基準と全体傾向
- 準備のしやすさ:手に入りやすい材料、工具点数の少なさ
- 学びの幅:伝達方式(直結・ギア・プーリー・摩擦・プロペラ)、電気配線(スイッチ有無、はんだの有無)
- 安全性:刃物や高温工具の使用頻度、9V電池の使い方
- 改良余地:速度調整、直進性、耐久性、デザイン性
全体としては「段ボールシャーシ+ストロー軸受+竹串シャフト+9Vまたは単3電池ケース」が基本形。伝達はギア、輪ゴムを使った摩擦、プーリー、プロペラとバリエーションがあり、スイッチは片切が主流ですが、電池コネクタ直結で省略する作例も見られます。
作例レビュー
1.段ボール×ギア駆動の基本形
学びの要点は「ギア比で速度と力がトレードオフ」すること。シャフトに着けるギアの大きさを何とおりか変えてみると、走りにどう影響するのかがわかります。
シャフトをグルーで固定したときの精度が直進性に影響するため、定規でモーターと車軸の平行を丁寧に出すのがコツです。
| 材料 | 道具 |
| 段ボール、9V電池、電池コネクタ、DCモーター、ギア大小、シャフト、ストロー、プラモデルのホイール、オルタネイトスイッチ、リード線 | カッター、ボールペンや鉛筆、定規、グルーガン |

超シンプル。ギアの使い方が「あ、これでとりあえずいいんだ」と勇気の出る内容。ギアボックスとか特に必要ないプイ。
2.コネクタ直結で即走るミニマル構成
スイッチなし、電池コネクタを挿した瞬間に走る割り切りが秀逸。固定は両面テープとホットグルー中心で、製作時間が短い。取り回しやすいが、停止制御ができないためテスト時は走行エリア確保が必須。キャパシタの追加は、起動時の電圧降下対策やノイズ低減の観点でポイント。
| 材料 | 道具 |
| 9V電池、電池コネクタ、DCモーター、キャパシタ、ストロー、つまようじ、ホイール、プロペラ | グルーガン、両面テープ |

電池にグルーつけてもいいんだプイ
3.段ボール×ギア×片切スイッチの教科書型
はんだ付けを伴うため教育効果が高い。ギアの噛み合わせを“隣り合わせ”で実装する素直な設計。シャーシの剛性が不足するとギアバックラッシが変動するので、割りばしや厚紙リブで補強すると安定。
| 材料 | 道具 |
| 段ボール、シャフト、ギア大小、ホイール、キャパシタ、DCモーター、竹串、ストロー、片切スイッチ、リード線 | カッター、グルーガン、はんだごて、はんだ |
4.おもちゃ流用×プロペラ直結
既製のおもちゃカーを活用し、はんだなしで配線を完了できる事例。プロペラ推進は路面摩擦を受けにくく、カーペットや凹凸面でも動かしやすい。一方で直進性は空気抵抗の偏りに依存しやすいので、ガイドフィンの追加や重量バランス調整が効果的。
| 材料 | 道具 |
| 9V電池、電池コネクタ、DCモーター、プロペラ | 両面テープ |
5.プロペラ推進+片切スイッチ
ペットボトルキャップを車輪に、ストロー軸受+つまようじシャフトの軽量構成。工具ははんだごてとグルーが中心。プロペラは安全面に注意。ガードリングを紙皿やPETで自作すると安心。推力方向を車体中心線に合わせると蛇行が減る。
| 材料 | 道具 |
| 9V電池、電池コネクタ、DCモーター、片切スイッチ、プロペラ、ペットボトルキャップ、ストロー、つまようじ | はんだごて、はんだ、グルーガン、はさみ、ニッパー |
6.ゴム管摩擦伝達のNHK方式

ギアを使わず、モーター軸のゴム管をタイヤに押し当てる“摩擦駆動”。部品点数が少なく静粛性も高い反面、押し付け圧が不足すると空転しやすい。電池やテープでモーター位置を微調整し、接触圧を最適化すると走破性が上がる。
| 材料 | 道具 |
| 単3乾電池、電池ケース、ホイール、DCモーター、プラスチック段ボール、竹串、ストロー、ゴム管、布製接着テープ | はさみ |
7.プラ段+プーリー+割りばし補強
ベルト(輪ゴム)で駆動するプーリー式。ギアより組みやすく、伝達の可視化にも向く。割りばしでシャーシに梁を入れる発想が良く、車軸の平行度が出しやすい。スポンジ両面テープでモーターの振動を吸収すると騒音低減に寄与。
8.ペットボトルキャップ車輪の超ローコスト
キャップ+竹串+輪ゴムで車輪を自作。素材入手性が抜群で、授業やワークショップ向き。車輪の偏芯が出やすいので、穴開けをセンターに行う治具(型紙)を用意すると品質が安定。ビニルテープでトレッドを作るとグリップが向上。
| 材料 | 道具 |
| プラスチック段ボール、竹串、ペットボトルキャップ、小さな輪ゴム、乾電池、電池ケース、両面テープ、クリップ、ビニルテープ、DCモーター | はさみ、ニッパー |
9.アイス棒シャーシの軽量設計
アイス棒でフレームを構成し、プーリー駆動。軽量で加速感が出やすい。アルミテープは導通確保や配線保護に便利。接着面は木材同士になるため、瞬間接着剤や木工用ボンドとグルーの併用で剛性アップ。
| 材料 | 道具 |
| アイスのスティック棒、シャフト、プーリー、小さな輪ゴム、DCモーター、タイヤ、スイッチ付き電池ケース、乾電池、アルミテープ | ニッパー、はさみ、ボールペン、グルーガン、はんだごて |
10.ミニバイク風の意匠で魅せる
ギアボックスや太めのアイス棒を使い、外観の完成度が高い作例。LEDを載せるなど電装の拡張まで含めて“作る楽しさ”を広げやすい。見た目を重視しつつも、重量配分が前寄りになると空転しやすいのでバッテリー位置で調整。
まとめ
身近な材料で製作できるDCモーターカーの事例を10選紹介しました。まずはハードルの低い事例で成功体験を作り、次にギアやプーリーで効率と制御の概念を取り入れると、理解が段階的に深まります。安全と直進性に気を配りつつ、好きな素材で自分らしい一台を仕上げてみてください。今回の10事例の比較表を以下にまとめてみましたので、参考までに。
| No. | 伝達方式 | 電源 | スイッチ | はんだ有無 | 難易度 | 構成/シャーシ | 車輪 |
| 1 | ギア | 9V | 片切 | 有 | 基本 | 段ボール+ストロー軸受+竹串(またはシャフト) | プラ模型ホイール等 |
| 2 | ギア | 9V | なし | 無 | 入門 | 段ボール簡易シャーシ | 市販ホイール |
| 3 | ギア | 単3×2 | 片切 | 有 | 基本 | 段ボール+補強(割りばし等) | ホイール |
| 4 | プロペラ | 9V | その他 | 無 | 入門 | 既製おもちゃ流用 | 既製ホイール |
| 5 | プロペラ | 9V | 片切 | 有 | 基本 | 軽量シャーシ(ストロー軸受+つまようじ) | ペットボトルキャップ |
| 6 | 摩擦(ゴム管) | 単3×2 | その他 | 無 | 入門 | プラ段+竹串+ストロー | 市販または自作ホイール |
| 7 | プーリー | 単3×2 | その他 | 無 | 基本 | プラ段+割りばし梁 | タイヤ |
| 8 | プーリー | 単3×2 | その他 | 無 | 入門 | プラ段簡易+両面テープ | ペットボトルキャップ+輪ゴム |
| 9 | プーリー | 単3×2 | その他 | 有 | 基本 | アイス棒フレーム | タイヤ |
| 10 | ギア | 9V | 片切 | 無 | 中級 | 太めアイス棒+ギアボックス | ホイール |

